緊急声明/全国演鑑連

緊急声明

 2月24日に開始されたロシア軍による隣国ウクライナへの侵攻に対して、私たち全国演劇鑑賞団体連絡会議は、即時停戦とロシア軍の撤退を強く求める。
国際政治の諸問題の解決には、どんな理由であれ、あくまでも外交的努力によるべきであり、今回のような軍事的手段を行使することは断じて許しがたい。ロシア・プーチン政権は、明らかに国連憲章違反であり、国際法を濫用して、ウクライナ侵攻を正当化している。こうした行為は、世界秩序を暴力的に破壊することを意味し、歴史の歯車を逆に回すことに等しい。ましてや核兵器の使用をちらつかせながら、軍事侵攻を推し進めること自体、人類に対する「犯罪」行為であって、強い憤りを感じる。
 私たちは、演劇鑑賞運動の理念の中に、つねに反戦平和を第一義的に掲げてきた。平和なくしては未来への豊かな文化は生まれてこないと確信するからである。そして、これまで日本の新劇運動においては、ロシアの演劇文化を高く評価し、チェーホフ、ゴーリキーなどの戯曲作品をはじめスタニスラフスキーの演技法など、計り知れないほどの影響を受けてきた歴史がある。また、近年においても、日本とロシアとの演劇文化の交流はますます盛んになり、新たな演劇世界の扉を開け、友好と親善の関係を築き上げてきた。
 しかし、ロシア・プーチン政権による今回の暴挙は、私たちがこれまで築き上げてきた演劇の文化交流を断絶させ、大きな傷を負わす許しがたい行為である。
 歴史を遡ること1904年に日露戦争が勃発した際、ロシアが生んだ文豪レフ・トルストイは、即座に英文でロンドンタイムズに「悔い改めよ」という論文を発表し、両国へ即時停戦を呼びかけ、恒久平和を提唱した。トルストイの唱えた絶対平和主義の精神は、1世紀以上たっても、なお色褪せることなく、現代においても脈々と生き続けている。ロシア・プーチン政権は、自国が生んだ偉大な文豪の言葉に今こそ素直に耳を傾けるべきだ。
私たちは、この惨劇を一刻も早く終結させるように、ウクライナの国民だけでなく、ロシアの国民、いや全世界の平和を願う人々と連帯し、反戦の声を広げていく。
 さらに、この戦争に乗じて、日本国内では「防衛力強化」と称して、平和憲法を改悪させる動きが一段と強まり、それに合わせて「非核三原則」を否定する「核共有」にまで言及する危険な動きが増幅されつつある。私たちは、こうした平和国家を脅かす言動に対しても強く反対する。
 私たちは、人の命を蔑ろにする、いかなる戦争にも反対するとともに、今一度、ロシア軍のウクライナ侵攻に強く抗議し、即時撤退を求める!
                             以上

                                2022年3月13日
                                全国演劇鑑賞団体連絡会議

2022年03月20日